いきさつ
70℃のお風呂あるで
以前富山県で一番熱いお風呂を決めよう!っていうテレビ番組に出演したとき、放送はされなかったけど、収録中にMC関さんとこんなやりとりをした。
関「熱いお風呂といえば、飯坂温泉って行ったことあります?」
とら「いいざかおんせん?」
関「福島県にあるんですけど、70℃とかのお風呂あるらしいですよ」
とら「ななじゅうど(笑)」
関「行ってみてくださいね」
とら「絶対行きます!」
関さんは母心というお笑いコンビの富山県出身:嶋川の相方で、飯坂温泉で活動してた時期があり今でも福島県と縁があるようです。
で飯坂温泉っつーのを調べてみたら、共同浴場がいっぱいあって、どれもとても熱い湯なんだとか。源泉が70℃で湯温が47,8度あるとか、もうとてもそそられる。

もちろん70℃のお湯に浸かるわけではない。浸かれるわけがない。 タンパク質固まります。
だが源泉が70℃、ではなく、湯口が70℃、ということは湯舟のお湯もそこそこに、いや、かなり熱いのではないか。
ま、みんな入ってるんならおれにも入れるやろー ぐらいの軽い気持ち。
とりあえず8つ全部入って温度計ってくる!いつも通り。
段取り
各共同浴場でそれぞれ定休日や昼営業(600-1300)、夜営業(1300-2100)を振り分けている。通し営業やってる店もある。その営業時間割を見ながら行くタイミング・順番を決めるが、金曜午後から3軒、土曜朝2軒、昼から3軒となった。その後に会津若松の竹の湯に行くつもりなので出来るだけ早く飯坂温泉を終わらせたいのだが、昼から3軒というのがなかなかハード。
合間合間に現地メシを挟むつもりだが、福島県の料理と言われてもなにも思い浮かばない。 調べてみると、円盤餃子だの〆パフェだの、地元民が地元をなんとか盛り上げようと捻り出したB級グルメばかり。高岡コロッケのようにw
1日目
0 もにわの湯 43.2℃
午後2時ごろ福島市入り。
時間に余裕があったので、まず最初に車で20分ほど離れた「もにわの湯」という日帰り温泉にも行ってみる。

地方によくある公営の温浴施設。(な感じ。実際公か私かは知らない)
内湯1 外風呂1 洗い場10個ほど
43.2℃ 期待はしていなかったが意外と熱い。 山を見ながらのんびりする。まあ慌てたって仕方ないしなー 秋も深まってきて熱湯の後の外気浴が心地いい。
1 八幡の湯やはたのゆ 48.1℃
さー行きますかー!飯坂温泉!かかってこいやー

駐車場が埋っていた&路上空き待ち人までいたので近くの公共駐車場に止めて歩く。まあどの店も止めれる台数が少ないので、運。
券売機に400円入れて券を買う。すっぽんぽんになって、タオルと温度計だけ持ってドアを開ける・・・と・・・お風呂屋では見たことのない異様な光景に度肝を抜かれる。
浴室中央に浴槽が1つ。床面と水面がほぼ同じ。(槽が床に埋まっている) カランや椅子はない。(店に依ってカランや蛇口が1,2か所あるところもある)
あぐらをかいて浴槽のそばに座り、洗面器でお湯を汲んで頭からかぶったり、石鹸まみれになって体を洗っていたり、ちょっと離れたところで休んでいたり・・・浴槽を中心に人々が群がっている。
まあ例えは悪いが樹液に集まる昆虫をイメージしてしまったw オアシスで水を飲む野生動物で、も可。
さも慣れた感じで空いてるスペースに座り洗面器でお湯をかぶってみる。熱い。 みんな距離が近いし常連さんも多いからか賑やかで和やか。お湯だけがとても刺激的。
山代温泉古総湯も浴室に浴槽1つあるだけと同じ構造だったと思うが、自分ひとりだったし、全く雰囲気は違う。
めいっぱいかけ湯して、慣らして、浸かる。熱い。熱いよー しかし耐えれないほどではない。計ってみると48.1℃ なんかいきなりすごい数字出たんですけど。
聞くと、もっと熱いとこがあるとか!まじか。 1軒目がこれでは先が思いやられ…いや、楽しみでなりません。
2 鯖湖湯さばこゆ 46.5℃
駅近くのゲストハウスにチェックインしてしばらくごろごろしたあと、歩いてお出かけ。もう辺りは真っ暗。

じゃーん。GOLD。
なわけではないが、木の色と照明の加減でキンピカに見える。夜の鯖湖湯。
(最初間違えて隣の旅館の写真を一生懸命撮ってましたがw)
駅からほど近い繁華街ぽいところにある為か観光客が非常に多く、通りまで賑やかな話し声が聞こえていた。 中に入ると、若者数人のグループが複数ごったがえしていて、地元民の威勢のいいオジサンに煽られて熱湯チャレンジしていた。
みんながみんな、わーわー言いながらも肩までなんとか浸かれているので、たいしたことないのかなーと思いながらようやく空いた隙間に浸かってみるも46.5℃ 意外と熱い。
それから急にみんな上がっていって、あんだけギュウギュウだったのに一気に貸し切り状態。なんなんだ。すると温度を下げる要因(体温37℃前後の人体)がなくなり・・・急に温度が上がり始める。
これぐらい熱いお湯だと、もう、水かぶらなくても湯から上がるだけで冷却効果ある。浸かって、休んで、を繰り返しているといい感じに仕上がっていく。
名物に旨い物なし
誰が流行らせたのか知らないが、界隈の食事処ではもれなく「円盤餃子」を提供している。
円盤状に盛られた餃子。フライパンに餃子を詰めて焼いてそのままひっくり返して皿に乗せた感。まあたんなる餃子の大盛。
適当なカレー屋も見つからなかったし、何が食べたいというわけでもないので、円盤餃子で有名なお店に行って、並んだ。ラーメン屋兼居酒屋のようなところ。

小ぶりの揚げ餃子22個1650円(@75)。味玉ラーメン。
お酒呑んでる地元民グループと、円盤餃子目当てに来ましたっていうソロ観光客にきれーに二分されてた。おれにとっては完全にご飯案件なのだが、「ご飯ないんですか?」と尋ねると、すいませーんやってないんですーと慣れた返事。まあご飯があれば、酒も飲まずに餃子+ご飯で終わってしまうけど、ご飯ナシならじゃあラーメンでも付けるかってなりますからね。酒に合うメニューはご飯にだって合う!w
個人的な好みの問題ですが、私はタレ付けなくても食べれるぐらい具に味が付いてるのが好き。餃子に限らず。
3 波来湯はこゆ 44.5℃

駅のすぐそば。ちょっと前に建て替えられたようで真新しい建物。ここだけ他と趣が違う。明るいロビーで券を買い中に入る。500円。
ぬるい槽42℃設定と熱い槽45℃設定があって、それぞれ実測41.9℃と44.5℃。完全に観光客向けのフツーの公衆浴場。洗い場4。オーバーヘッドシャワー完備。
ここだけ入って、「飯坂温泉?たしかに熱かったねー!」というのは違う気がする。いそうだけど。 マイルドめのブラックラーメンだけ食べて富山ブラックを語るようなもん。(おれはガチブラック食べたことないけど!)
ゲストハウスに泊まる
飯坂温泉は奥州三名湯に数えられ、かつて栄華を誇った堂々たる温泉地だそうだが、温泉旅館には見向きもせずゲストハウスに泊まることにした。駅や共同浴場のすぐ近くに見つけてしまったし。安かったし。
ゲストハウスというものには初めて泊まることになるが、オーナーさんを囲んで、または、宿泊客同士みんなでなんかわいわいがやがやする…イメージがあった。外国人も多く来るらしいので片言の英語と身振り手振りで盛り上がって、インスタとかのIDを交換して…と勝手に妄想を膨らませていた。
なので富山を出発するときに、みんなで分け合って食べようと思って円盤鱒の寿司を買って持って行った。
宿に着いて受付手続きしてるときに「これ富山のお土産です」つってホール鱒の寿司を渡した。「わあ鱒の寿司!知ってます!」と大層喜んでおられた。 夕方のチェックインラッシュがおわるとオーナーさんは一旦自宅に帰っていき、次に戻ってきたとき、「美味しかったですよ!ごちそうさまでした。娘も美味しいって喜んでました」と返ってきて・・・ああ自分達だけで食べたのね…とがっかりしたw 「みんなで食べましょう!」って渡せばよかったのかな。
結局その後もみんなとわいわいがやがやする機会など訪れず、3人部屋のドミトリーにいた台湾人の青年とも挨拶しかしてない。一回話しかけたが日本語ワカラナイと拒絶されたw
結局そういうもんなんですよね。
ペンションとかカジュアルな旅館みたいところでも、食後に集まってお茶する為の部屋はあるけどそこで盛り上がってる人たちなんて見たことない。せめてオーナーが積極的な人で皆に声をかけて回ってお茶会みたいなのを開きたがる人ならまだしも、今まで行ったお洒落ペンションのオーナーさん達は皆もれなく疲れ果てた顔をしていたw そんなことをする暇があったら少しでも休ませてくれという顔。
2日目
3.99 十綱湯とつなゆ
朝6時。朝の散歩を兼ねて気温一桁の中を歩く。約10分の距離。
飯坂って坂を見つけて喜ぶ。確かに坂の多い街。住宅街のくねくねした狭い道を抜けてたどり着くが・・・閉まってる!
どうやら夏頃に時間変更した模様。土曜は午前のみ営業から午後のみ営業に変わっていた。
これが、昨日開いてて今日開いてないみたいな変更だったらアウト!だったけど、午後からもう一度くればいい。昼から4軒回らなくてはならなくなるが・・・最悪の事態は免れた。
福島県、福島市、飯坂温泉観光協会、などそもそも「公式サイト」自体がいくつもあって、情報が更新されているものといないものがある!古いパンフレット配ってるとこもあるし、宿でもらったお手製チラシも古いままだった(笑)
仕方がない。ついでなので飯坂電車通称「いい電」に乗って戻ることにする。
いやー最悪な事態は免れたとはいえ、午後から来るときは車でアソコを通らないといけないのか・・・なかなか憂鬱やな・・・
とか考えてたら飯坂温泉駅に着いた。そのまま宿のすぐ近くの導専の湯へ。
4 導専の湯どうせんのゆ 46.0℃

朝からいっぱい客がいる。地元民ぽい人も、そうじゃないぽい人もいる。
2槽式。ぬるい方44.5℃ 熱い方46.0℃~48.0℃。
この頃になって、同じ浴槽の中でも、場所によってかなり温度にムラがあるなーと気付き始めている。なんなら、底の方が熱いという謎の現象にも頻繁に遭遇する。
普通液体は、温かくなると体積が大きくなるため比重が軽くなる。上に行く。冷たい液体は下に行く。つまり、湯舟のお湯は、基本的には上の方が熱く、底の方はぬるく、なっているはず。
まあ、湯口に近ければ熱くて、遠ざかるほど冷める。というのは分かる。底の方が熱く感じるのはなんなんだろう。境界層によって上下に分離していて、表面に近い方は外気に触れて冷めていき、底の方は熱いまま保たれている…ということだろうか。
湯口からは熱いお湯が注がれ続けている。タイミングによってはじゃんじゃかホースで注水されてもいる。人の出入りや、桶によるかき混ぜ。外気温。いろんな要因があって、計る場所計るタイミングで温度計の数値は簡単に変わる。なので、いまさらこんなこと言うのもアレですが、
細かい数字は気にしないでください!(笑)
13時までひま
朝8時。宿に戻ってきた。あと4軒。まだ半分。全部13時にならないと開かない。
そこから4軒回って、約2時間離れた会津若松市に行く。次の宿には18時までにはチェックインできますと言ってある。そのあと最低限行きたいのは竹の湯とカレー屋「スパイス処サヴァイ」。気分とタイミングが合えばもう一軒ある銭湯「城前湯」、ソースカツ丼屋、パフェ屋なども視野にいれつつ。 なので出来るだけ早く飯坂温泉を出たい。のに、することがない!
とりあえずチェックアウトして、地元スーパーの視察とご飯の調達。

地元民で賑わうスーパーいちい。 いちい特製ナポリタン、略していちナポ。おさかなカツ。サーモンロール。朝飯か昼飯かよくわからない。
次に行くお店の駐車場でのんびり読書しながらつまんだ。

5 天王寺穴原湯てんのうじ-あなはら 45.7℃

やっと13時!地元民に交じって開店ダッシュ。
受付のカウンターにいかにも押してくださいと言わんばかりに、スタンプが置いてある。
「あれ?スタンプラリーとかやってるんですか?」
「あ、ああ、これ ずーっと昔やってたの、そのまま置いてあるんですよ…」
「ちょうど記念なのでハンコ押させてください。 車に台紙あるんで取ってきます!」
例によって例の如くお手製の地図を作って持ってきてたりするわけなんですが…温度とかメモを書くスペースとして作った円に、スタンプが、シンデレラフィット!
このスポり具合は気持ち良すぎる。もしかしたら他のお店でも聞けば奥から出してきてくれたりするのかもしれないが、ま、いまさらいい。でも話聞いていると、なんかポイントカード?スタンプラリー?みたいなのもあるっぽい。昨日駅前の観光協会でお風呂MAPもらったときはそんなこと一言も言ってなかったのに。
先客2人。
私を観光客or一見さんと認めて、
「水入れようか?」
「いえ、熱いの好きで回ってるんで、そのままで大丈夫です」
と言いながら足を入れる。まあ熱いけど46℃なら飯坂温泉では熱いとは言わないのかもしれないw
深湯。ここまでなかった、硫黄臭。(結局その後もなかった)一番温泉っぽいと言えるかもしれない。小高い山肌に建ってて、なんとなく見晴らしもよい。駅から遠く離れてることもあり、穴場感はある。 立たないと窓から外は眺められないですけども…
6 仙気の湯せんきのゆ 46.0℃
ここも宿のすぐ近く。チェックアウト後だが予めお願いしておいたので、宿の駐車場に車を止めて歩いていく。

地元民で混雑。風呂端の話題はもっぱら熊。界隈で目撃・遭遇情報が多発している。店の前にも張り紙してあった。
ぬるい方44.0℃ 熱い方46.0℃
熱い湯とぬるい湯。
熱い湯と縁であぐらかいて休む。
ちょっと浸かってちょっと休む。繰り返してるだけでスッキリしゃっきりする。ほんと気持ちいい。何軒もハシゴしてても、なんか疲れるな…って感じにはならない。
7 十綱湯とつなゆ 46.7℃

道が狭いのも、駐車場が空いてるかどうかも、なんとかクリア。立地的に来にくいからなのか空いている。
地元民がじゃんじゃか注水中。
結局地元民だって、水で埋めてるやんw いくら慣れてるっていってもやっぱ50℃越えたら無理なもんは無理。なので、ほんと、計った時が熱いかどうかは、運。某かの気まぐれに左右されまくり。(なので今回調査した数値群もランキングとしてはあんま意味ないです。個人的な記念w 公式が湯口の温度で順位付けしてるのも、そうなっちゃいますよねー)
8 大門湯だいもんゆ 48.1℃
最初に行った八幡の湯が48.1℃で、そこの地元民に「もっと熱いところがあるZEEE!」と教えてもらっていた大門の湯。うまい具合に最後にやってくることになった。最終決戦。
住宅地の、坂の上の、一方通行の、分かりづらい行きづらいところにある。たぶん、反対から来ると最後の鋭角のとこ曲がれないんじゃないかな。一回通り過ぎて方向転換してから再進入した。
お店の前・横に止めれる台数は少ないが、そのまま上がっていくと一気に開けてかなりの台数止めれるようになってる。そしてその空き地からの見晴らしが素晴らしい!

広場から360℃視界が開けてる。
気が済むまで写真撮り倒して、坂を下りていくと

ラスボス大門の湯。
浴室の角から伸びた緑色のホースが湯舟の中まで伸びていってるのが見える。おじさんが2人。
こんちわーと言いながら縁に陣取り桶でお湯を汲みかぶる。うん熱い。熱いが浸かれないほどではない。と思って浸かるが、やっぱり熱い。底の方が痺れるぐらい熱い。痛い。唸る。
おじさんがおれにホースを向けて冷却してくれる。一気に楽になる。
ホースの水を止めると、周囲のお湯が急激に熱くなっていくのが分かる。

浴槽の中央から噴水の様に源泉が注がれていて、その湯口に温度計を突っ込むと70℃。熱いはずだわね。
源泉が70℃っていう場合、大概は途中で水を足したり、配管を通ってるうちに自然に冷却されたりで、湯口の時点で50℃ぐらいになるように調整して、着水して湯舟に溜まると44℃とかになる、ってのがよくあるパターンかと思うが、ここは湯口が70℃。
まあ水で埋める前提のお風呂ですね。たぶん何もせずにほっとくと湯温60℃とかになるんだろうwしらんけどー
これにて8湯完湯!
まとめ
はいらんしょ
最初は見たことのない風景に度肝を抜かれましたが、
ひたすらしゃべってる人、足だけ浸けてじっと固まってる人、髭剃ってる人、なんか唸ってる人、温度を計ってる人。いろんな人がいる。普通に公衆浴場だし、街の社交場だし、ちょっと熱いだけで他の地域のお風呂となんら変わるところはないです。
数字より熱く感じるときもあれば、数字ほどには熱くないときもあって、上の方だけ/底の方だけ熱いとか全体的に熱いとか、注水してればムラの出来るのも仕方のない話で、48.1℃と表示されたお湯に浸かりはしましたが、だからなんやねんって感じですw
これが真夏だったら浴室内も茹だるほど熱くなっていたかもしれないが、外気温が低めの季節だったおかげで、湯から上がるだけでさーっと冷却されていく感じがあり、ちょうど温冷浴的な効果がありました。すっきりサッパリしてとても気持ちがいい。そういえば、連湯してもいつものようにバテたりしませんでした。
結果発表
今回の数値を熱い順に並べると
48.1℃ 八幡の湯
48.1℃ 大門の湯
46.7℃ 十綱の湯
46.5℃ 鯖湖湯
46.0℃導専の湯
46.0℃ 仙気の湯
45.7℃ 天王寺穴原の湯
44.5℃ 波来湯
平均46.45℃
何回も言ってますが、たまたま計った時の温度がそうだった、というだけの話です。じゃあなんで計った?w
おすすめ
観光的には 夜の鯖湖湯
車ある人なら 天王寺穴原
話題作りに 大門の湯








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